1917年にドイツで石炭から合成された世界で最初の合成洗剤が開発されましたが、開発当初は、洗浄力が低く普及しませんでした。
1928年にアルキル硫酸エステル塩(AS)が開発され、世界初の家庭用合成洗剤が発売されます。
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1933年にアルキルベンゼンスルホン酸塩(ABS)が開発され、終戦後にリン酸塩やCMCの配合剤(ビルダー)が見つかり抜群の洗浄力をもつことになります。
欧米では洗濯水として使用する水は、硬水を使用するので石鹸カスのできない合成洗剤が注目され、昭和30年の終わりには、合成洗剤が石鹸の生産量を、追いぬきました。 |
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しかし、日常生活で排水する洗濯排水や台所、風呂などの排水中に含まれる洗剤の量は膨大な量で、微生物による自然の浄化作用では間に合わなくなって、浄化されないまま蓄積され水質汚染という問題が発生しました。 |
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合成洗剤の初期のころは、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(ABS)が微生物に分解されにくく、蓄積されていたためと分かったので微生物に分解されやすい性質をもつ直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS)に切り替えられました。
このような界面活性剤を使った洗剤が「ソフト洗剤」として売り出されました。
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日本は、1971年に洗剤のソフト化率が97%に達し、現在ではABSは使用されていません。
水中に含まれたカルシウムやマグネシウム(これが多い水は硬水と呼ぶ)は、 石鹸の分子と結合して、洗浄力弱めて、石鹸カス(金属イオン)を作ります。
硬水のそうした作用を無くすためにビルダー(界面活性剤の働きを助ける助剤)として、リン(ポリリン酸ナトリウム)を洗剤に配合されていました。
リンは、生物が生きていくためには、必用不可欠ですが自然界には不足気味で水中の植物の繁栄を抑えていました。
しかし、リン配合物が生活廃水として、川や湖に流れ込むと、今までリン不足で繁殖を抑えられていた植物プランクトンなどが、急激に繁栄し、赤潮などの環境問題が発生したのです。
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この問題を富栄養化といいます。
1980年に琵琶湖富栄養化防止条例により、無リン洗剤への転換が始まりました。
各洗剤メーカーは、無リン洗剤の開発に取り組み、1980年にリン酸塩の替わりにゼオライト(アルミノケイ酸塩)を配合した無リン洗剤が発売され、家庭用洗剤は、ほぼ無リン化されました。
昭和60年代には、コンパクト洗剤や酵素入り洗剤などが販売され、今日に至っています。 |
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参考文献 洗剤と洗浄の科学 中西 茂子 著 コロナ出版 石鹸・洗剤100の知識 大巻健男 東京書籍 |
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