洗濯温度が変わると、洗濯物の汚れ落ちに影響はどれくらいあるのでしょうか?
ここでは、温度の違いによる洗濯効果について検討します。
温度による洗浄力のの比較
洗濯の温度が10℃〜40℃までは、徐々に洗浄力が上がりますが、40℃〜60℃までは、特に大きな変化もなく横ばい状態、しかし60℃以上になると急激に洗浄効果が高くなっていくのが右の図を見て分かりますね。
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繊維別に油脂汚れ除去に対する温度の影響
油による汚れの落ち具合を洗濯温度が40℃〜60℃の間で、急激によく落ちています。40℃〜60℃で油の融点(固まっている油脂の溶ける温度)に関係してそうですね。
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油汚れは、脂質の融点以上の温度で洗わないと落ちにくいのです。ちなみにプロのクリーニング屋さんでのワイシャツなどの衣類は、約50℃〜60℃の温度で洗っています。最近は、60℃くらいの高温で洗える家庭用洗濯機も登場しています。
高温での洗濯は、確かにキレイになりますが、下記のようなデメリットもありますので、温度を上げて洗う事を考える場合は、気を付けるようにしましょう。
再汚染(逆汚染)が起こりやすい
特にポリエステルのような合成繊維は、高温洗濯で再汚染が起こりやすいので、注意が必要です。
*再汚染とは、一度衣類から離れた汚れなどが再び衣類に付くことを意味します。 |
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界面活性剤が汚れや繊維に吸着しにくくなる
温度が上がれば界面活性剤の分子が激しくなるためにミセルが形成されにくくなります。
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繊維にダメージを与える
温度が上がれば、繊維が膨張して内部に汚れが取り込まれる場合があり、さらに繊維にダメージを与えます。(特に毛、シルク)
また、温度が上がれば移染、色泣きなども起こりやすくなります。
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洗剤も洗浄温度も繊維の種類によって、変えたほうがよいということです。プロのクリーニング屋さんも、繊維や汚れ具合、染色などによって洗剤や温度を変えて洗っています。
衣類をきれいにする効果や節水にも有効なので、家庭での洗濯では・・・お風呂の残り湯の利用をおすすめします。
【ここに注意】
TV番組などでクリーニング店さんが、消費者の方に向けて「色移り」などのシミを落すコツとして、熱湯を使用する方法を紹介している場合があります。
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確かにこの方法はシミは落ちやすいので有効ですが危険です。
衣類にも負担が大きく、また火傷なども心配です。安易に真似をすると大変な結果になる事がありますので十分に気を付けるようにしましょう。
参考文献 ・よくわかるクリーニング講座 ERC出版/(財)全国生活衛生営業指導センター編著 ・洗剤と洗浄の科学 中西 茂子 著 コロナ出版 ・石鹸・洗剤100の知識 大巻健男 東京書籍
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